農業が重要な産業である7つの理由
農業は人類の文明の基礎であり、社会がどれだけ大きく発展しても、農業が重要な産業であることにはずっと変わらないでしょう。農業の重要性は、特定の国でより顕著に現れていますが、実際には、いずれの国においてもいくつかの理由によって農業は最重要の産業なのです。ここでは、農業の重要性を示す理由をいくつか紹介しましょう。
原材料の主な供給源であるから
農業分野から調達することができる基本的な材料は数えきれないほど多数あり、綿花、砂糖、木材、パーム油などはほんの一部です。これらの原材料は、たとえば、医薬品、ディーゼル燃料、プラスチックの生産など、ほとんど知られていませんが、実は大きな産業において重要な役割を果たしています。実際、原材料は製造業において絶対に欠かせない存在であり、ある国の経済の健全性というのは、どれだけの原材料を所有しているかに大きく依存しています。
国際貿易に欠かせないから
農業の原材料は、世界中で取引されるもののうち、かなりの割合を占めています。原材料を豊富に保有している国はそれを他国へ輸出し、逆に不足している鉱物を輸入しています。もしある国の農業が何らかの理由で失敗してしまうと、市場の供給不足が生じ、価格が高騰するので、貿易に支障をきたすかもしれません。現在、EU(ヨーロッパ連合)は、輸出入ともに世界一の農産物取扱高を誇っています。
国の収入に大きな影響を与えるから
商業の面からみると、農産物の輸出は、発展途上国の歳入の大半を占め続けています。一方、先進国の国々は、以前に比べれば農業への依存度は低くなっていますが、それでも、突然すべての農産物の輸出がストップしてしまうと、それらの国の経済は苦しくなるでしょう。
雇用を生み出すから
農業ビジネスは、今でも重要な雇用創出の場の一つであり、世界の多くの地域で盛んに行われています。この業界では、農家だけでなく、収穫者、農業機械技術者、科学者など、さまざまな雇用形態や職種の人が活躍しています。また、農業による雇用創出は、発展途上国の高い失業率を下げるのにも一役買っています。貧困削減という観点からみると、農業に注力することは、他の分野に投資するよりもはるかに有益であるという研究結果も出ているほどです。
国の成長にとって重要であるから
農業は、ある一国の経済成長にとって極めて重要です。商業、国の歳入、雇用すべてが国のためにうまく機能すると、貧困は減少し、経済の発展が促進されます。農業が優れていると、迅速に収益を生み出すことができるので、農業に集中することは、国の成長を加速し、国際社会における地位を向上させるのに効果的な戦略の一つだといえるでしょう。
環境を健全にしてくれるから
農業は、人間に害を与えることも、害から人間を救うこともあります。自分の土地で生物多様性を奨励している農家は、素晴らしいお手本です。土壌生物の多様性は、健全さを増進し、浸食を防止し、水の保全を高め、さらには花粉媒介者の働きを促進させます。つまり、農業はライフサイクルにおいて不可欠な要素であるため、すべて地球環境にとって良い方向に働くのです。
戦争と表裏一体であるから
食料を生産するための土地の需要は、人類の歴史上ずっと、数多くの戦争の原動力となってきました。近代では、特に第一次世界大戦中、ヨーロッパに農産物を送る必要性があったことから、アメリカの農業ビジネスが発展しました。しかし、戦争が起きると、その国の農業は壊滅的な打撃を受け、何十年にもわたって多くの人々を苦しめてきたのも事実です。それゆえ、戦争との関わりを抜きにして、農業を考察することは難しいといえるでしょう。